あなたは誰ですか?と問われて、「はい、○○です」といえる人がいます。私はなかなか言えません。
正直自分が何であるかなんて分かってないからです。や、「株式会社○○所属」とかはいえるんですけど。そうではなくて自分が美人であると思ってる人であっても、何が美人か定義されてないときは自ら「美人」とはなかなかいえないでしょうっていう部分はあります。
私は「ゲイですか?バイですか？ノンケですか?」と、問われて、最近やっとネットでは「あー、ゲイです」とか云えるようになりました。丸善の雑誌売り場でダルビッシュのヌードを拝みたい、という自分を自覚してて15秒ほどその衝動と闘ってたんですけど。そういう側面がかなりあるのでゲイかもしれない、という自覚はあるからです。しかし「けど、キャミソール着た女の子が脱ぎながらおいでおいでされたらどうなるか分かりません」とも答えます。この答えがゲイの範疇に当てはまるかどうかがわからないです。そうすると、納得いかない人もいる。じゃ、バイなんですか?といわれると「目が常に女性の方向へは行かないです」とこたえるしかない。あまり嘘つきたくないから、童貞じゃないけど処女でもないんです、というようにしています。
また、ゲイ的属性があっても「ロリコンだと思ってる人が「ロリコンでーす」ともなかなかいえない」というのと同じ部分があります。
「男のことが好き？冗談でしょう？」 って云われる恐怖と隣りあわせで生きてきた側面があるので私はネットでもなかなかいえなかったんですが。
腐女子の人が自らを腐女子と告白することがネットでもありえます。ゲイがネットでゲイであるを告白することもあります。
つい最近知った聞くだけでしんどい事例で、腐女子の人が自ら腐女子と告白した上でゲイと思しき人にゲイであることを告白するように迫ったケースだったのですが、それは「私も脱いだんだからあなたも脱ぎなさいよ」ということなんだとおもうのです。しかし、ヲタであることを告白することと同性愛者であることを告白することは、およそ告白の重さが違います。麻生外相がヲタク属性であることを告白してそれがにこやか？に語られますけど、例えば閣僚が仮にゲイとしてそれを告白したらゴシップとして扱われ社会的に抹殺されかねない。社会の冷酷さのようなものを身をもって知ってる場合、匿名であっても同性愛者であることを告白するというのが人によってはどれだけ重みを持つかとか、同性愛者であることに不安を抱きばれないように常に恐怖にさらされてきたかとか、うっすら私は想像できるのですが、そういった想像力の欠如してる人も居るのでしょう。その想像力の無さが同性愛者への告白の強制につながるのかなー、とおもったのですけど。
このブログ、あまりゲイブログではないのですが、脈絡無くちょっとゲイブログと腐女子の関係について述べておきたいと思います。
腐女子の人が、腐であることを告白しても、実は別にそれは告白されたほうからすると何の解決にもなりえないのではないかと思うのです。また、ゲイブログを通して見目麗しい男の子がいちゃいちゃしてるのを見るのがどこが悪いのか？と問われても、確かにどこも悪くはないのです。批難は出来ない。
ただ一点腐であることのみを告白しても
「どうしてあなたはかくも男同士の恋愛に惹かれるの？」
という根源的なことを説明してないから、いったいこの人たちはなんなんだ？ということになるのです。そもそも市井の一般人はあまり男同士の恋愛に心惹かれません。それが判ってるから腐女子というのをゲイは警戒する場合があるのです。相手が判らねば不安にはなります。珍しい「同性愛者というタイプの私的な日記」っていう他人の秘密（公開してるけど）をのぞく行為が楽しいだけでしょう？なんて下種な人たちなんだ！というのにつながりかねない。
腐、というのはなんなんでしょうか。その一言で説明した気になってないでしょうか？自分の言葉で自分を語ってますか？
かわいい男の子たちだと萌えるから、という人もいるでしょう。じゃ、萌えってなんですか？
脱線すると、私は去年来、腐女子を自認するけど極めて冷静な女性2人に「少女マンガがあるのに、なんで少女マンガに似たような内容のBLマンガや小説があって流行ってるのでしょうか？」と訊いたことがあります。訊いてはいけないお約束の質問みたいで申し訳ない、とおもいつつ、真剣に考えてもらってるので答えを待っている状態です。
個人的に聞いた例で恐縮ですが、例えばそのブログを書いてる人に興味を持てしまったとか、それならわかるのです。そういう読み方は腐ではなくって、普通に（同性間だけど）恋愛をする人間を、これまた（異性間だけど）恋愛する可能性がある女性が読む、という、どこにでもあるような微笑ましい展開が予想できます。しかし、自ら「腐」と名乗ってる場合には明らかに「私はヲタで男同士の恋愛が好き」と言ってるに過ぎません。つまるところ、二次元とかアニメでも、消しゴムと鉛筆でも、東京三菱と三井住友のUFJ争奪戦でも擬人化して萌えてしまうけどあなたのブログを読んでます、と、ゲイからすると言われてるようなものです。だからなんなのさ、なんだと思うのです。
恋愛はその人じゃなきゃ、っていうところから恋愛なのであってそれがたまたま同性だから、同性愛者たらしめるところがあります。同性だけど「その人」が好きなんです、苦しむところもあるんです、と、それを一生懸命説明しても「男同士なら何でも萌えてしまう」可能性が高い腐女子の人にその理屈や苦しみを説明してもムダかも、と考えてしまっても無理はないと思うのです。腐であることという告白が、そういう効果を生む事があるんじゃないかと思います。
自分の属性を語ることは全く自由であったりします。強制されるべきでもないかわりに、いつ告白しても良いとおもいます。
しかし、その告白ということについての意味と効果をよくよく考えないと、相互の理解を得られないばかりか、不幸な結果になるんじゃないかな、と思ったりします。
どう思います？
