運を拓くマーケティング―サントリー流才能の活かし方 (新潮OH!文庫)
- 作者: 鳥井道夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/10
- メディア: 文庫
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ちょいネタばれになりますが、ウーロン茶をサントリーは歓楽街で流行らせました。種類をだすようなお店で暗い照明のお店でアルコールを大量に呑むわけにはいかないときにオレンジジュースだとしらけるけど見た目が暗いとこだとウイスキーに似てなくもないウーロン茶なら場がしらけないで済むからです。で、お店勤務の女性が飲んでるウーロン茶に男性が興味を示し、ウリのひとつの「健康に良い」ということを聞いて男性が今度は家庭で買うように奥さんに指示するようになった、という寸法です。
また他に、百貨店で外国産ウイスキーに負けていたサントリーウイスキーを追い抜くエピソードなどがあるのですが、云われてみれば「ほほー!その手があったか!」なのでです。けど、その発想に行き着くまでがやはりプロというか、商売人だなーと思いました。
気になったのは「ユー・ラブ・ミー」の広告でしょうか。サントリーという会社は知ってるよ、さらに飲料や酒類メーカーということも知っている、という状況の中で、どうサントリーを売っていくかが重要になってきました。「アイ・ラブ・ユー」と喚くよりも「ユー・ラブ・ミー」の状況へもってくことが重要だと考えたわけです。
分かりやすいとおもって、cmを貼っておきます。
ひとつはウイスキー、ひとつは競合の激しいお茶です。この二つのcm、見ていただくとわかるんですけど、面白いのは全くといっていいほど「サントリーのウイスキーは美味い!」「サントリーのお茶は美味しい!」とは云わないのです。画像にちょっとだけ、製品が出てくるだけ。その画像も大半がウイスキーやお茶の品質との関係がないストーリーです。けど、良い印象は残るわけです。
見ているほうに対して好印象を作ることにより、サントリーから目が離せない状況にもって行き、顧客が「サントリー製品が好き」と言わせるようにする作戦です。サントリーはこういうcmを沢山打ってきました。もっとも商品名を連呼して、認知度を高めるものもありますけど。
鳥居さんはこの「ユー・ラブ・ミー」作戦が恋愛にも通じるのではないかと、述べています。同感です。
自分が好かれるのって大変な努力がいるもんだと私もおもうのです。けど、それに気付かないで居る人もまた多いかなーと思うのですが。