俗に白浪五人男と呼ばれる歌舞伎の演目があるのですが、そのなかで弁天小僧菊之助など登場人物5人が勢ぞろいする場面があります(稲瀬川勢揃いの場)。詳細は歌舞伎などでご覧いただくとして、その登場人物5人は志ら浪と書かれた傘を持っています。志ら浪とかいてしらなみと読むのですがつまるところ盗賊とか泥棒という意味でつまり「おれらは悪人だよ」という開き直りの自白でもあるのですが、念のため書いておくと雨は降っていませんし、時期は桜の咲くころです。フィクションの詳細な設定にツッコミを入れるのは無粋ではあるもののどうして傘を?という違和感を初見時に感じていました。
話はいつものように横にすっ飛びます。
今朝の毎日新聞の余録は歴史を踏まえての日傘必携のススメで、江戸期の江戸では性別問わずに青い紙を貼った傘もしくは日傘を差すことが流行していたこと、幕府が日傘を禁止しようとしたこと、などが紹介されていました。それを読んで上記の傘についての違和感が溶けちまっています。おそらくあれは日傘で、付け加えると白浪五人男が文久年間の成立で、幕末にはすでに日傘禁止令が無効化形骸化していた可能性が高いです。
次いでの謎は(白浪五人男のような例があるのに)なぜ男が日傘を差さなくなったのか?で、傘張りの内職をしていた武士の消滅と関係あるのでは?とか人力詮索が進むのですけどそれは横に置いておくとして(ほんとは横に置いておくには惜しい疑問ではあるのですけど)。
東京はまだ梅雨が明けていないものの梅雨明け十日のような気候が続いていて(つまりかなり暑い)、今朝も出勤時の朝7時代で住んでいる街は28度くらいあり無風でした。そんな状況なので毎日新聞の記事とは無関係に先月下旬からすでに折り畳みの日傘を去夏と同様に出勤時などに利用しています。もっとも日傘を使う男というのは少数派ですから見栄というかうっすらとした抵抗感は皆無ではないです。皆無ではないですが、実際使うとやはりいくらか涼しく、見栄より体感を優先しています。ほんとは日傘が要らないような気候がありがたいのですがそれはないものねだりなのでこのへんで。