海老せん・あげまん・鶏卵素麺

事務所などに手土産にするものというと「即食べられて」かつ「片手で食べられて」「個包装で日持ちして」「誰もが飽きないもの」というのが鉄板と思われます。それを誰かに教えてもらったわけではないけど、名古屋に居た頃に勤務先にどこからか持ち込まれた海老せんべいでなんとなく察していました。名古屋で売られている海老せんべいはたいてい個包装されていて手を汚さずに食べれますし、日持ちして飽きません。くわえて、実際手土産を持って行く側になって気が付いたのですが、箱がデカいのでそこそこ見栄えがします。ただ厄介なことを書くと、たとえば名駅名鉄百貨店には坂角と桂新堂があるのですがそれぞれに愛好者が居て、つまり名古屋市民でも(きのこの山たけのこの里戦争ほど激しくないものの)坂角派と桂新堂派が居て、どっちが好みかは傍からは判りにくい点です。経験則上「要らない」と突っ返されたことはないのでそのどちらかを持っていけばだいたいオッケーのはず、と当時仕えた非愛知出身の上司からぼやきを含めた説明をうけています。はてな今週のお題「手土産」を引っ張ると、名古屋でも名古屋以外でも坂角と桂新堂どちからの海老せんべいで嫌な顔をされたことはありません。ので、(これを書いているのはいまは東京在住で)八重洲の大丸に坂角が入ってるので、持って行く手土産に迷うとき個人的な選択肢としてはいまでも有効です。

海老せん以外のことも書いておくと、ここ数年、株主になってる隣県の小さな会社の事業所に訪問するときに陣中見舞い的なものとして持参してるのが目黒の御門屋という揚げまんじゅう屋の個包装の揚げまんじゅうの詰め合わせで、すでにあがってるものなのでさがらないというシャレというか縁起かつぎもあります。もちろん「即食べられて」かつ「片手で食べられて」「個包装で日持ちして」「誰もが飽きないもの」という条件を満たして、くわえて、甘さ控えめで、4文字に略すとほんのり下品になるものの美味かったという感想を聞いてからは必ず持って行くようになりました。目黒駅以外の東京駅や吉祥寺駅などでも売っています。

さて、うまくいったことばかり書いていますが失敗談のようなものを。

付き合っている相手の父君がそこそこ専門分野を持つ人で、不思議と嫌われていないのを奇貨としてその専門分野のことについて時間を貰って質問をしに行ったことが以前ありました。直前に仕事の都合で博多に居て、茶道にも詳しいと彼氏から訊いていたので天神の三越で鶏卵素麺という茶事にもつかえそうな和菓子を買ってそれを手土産に持参して面会しています。質問にも丁寧に答えて貰えたまではよかったのですが、最後に小声で「あのね楠田(仮)くん、実はね、松屋という店があるんだよ」とささやかれ「こんどはそこで買ってきてくれるかい?」。遠回しに結果を報告するように…という含意もあったかと思いますが、私が買ったのは松屋のものではなくあとで知ったことですが松屋は黒田藩の御用を務めたような店でそちらのほうが有名で、再度博多へ行った折に中洲の松屋に寄りそこの鶏卵素麺を手土産にし、抱えていた問題の処理の報告を兼ねて直行しています。単なる手土産なのですが、いまから思えば手土産一つにどこまで配慮できるかのリサーチ力を試されていたのかなあ、と。

最後にとってつけたようなことを書くと、手土産って難しいですよね(異論は認める)。