どうしてそんなものを入れるのか解せないものがいくつかあって、そのうちのひとつが冷やし中華の中の錦糸卵です。食べれないことはないけど卵が苦手なので出来れば無いほうが有難く、無くなって誰も困らないと思うのですが、残念ながら(…残念ながら?)冷やし中華におけるマストアイテムとして錦糸卵は不動の地位を占めています。仕方がないので食べるとしたら先に辛子をつけるか紅生姜があればそれと一緒に錦糸卵を食べてしまい、そのあと錦糸卵などこの世に存在しなかったかのように優雅に残りを食しています。ただしこの食べ方には難点があって、麺がゴムまりのような食感でかつあんまり美味しくなかったとき、先に使ってしまった辛子もしくは紅生姜の味でそれを誤魔化すことが出来ない点です。ので、見知らぬ店での冷やし中華というのは私にとってはばくちです。
今夏のやはり猛暑だったある日、水戸へ行く途中の笠間の国道沿いに中華料理屋があり冷やし中華の旗がはためいていて、昼飯にはちょっと早かったけど駐車場がけっこう埋まってるのをみて、初見の店でばくちですがここはおそらくそれほど悪くないはずと踏んで「あそこにしよう」ということになり、そこで昼飯をとることにしました。ところが店内に入って席に案内され、メニュー表を眺めると冷やし中華の文字がどこにもなくそれどころかだれも冷やし中華を食べていません。まいったな…と思いつつ、脳は久しぶりに冷やし中華を欲していて、観察してるとウエイトレスさんは日本語がそれほど堪能ではなさそうで、それをみて「冷やし中華って中国語でなんていうんだっけ?」「いや中国に冷やし中華はないだろ」とか彼氏と不毛な会話をしたあと、ええいままよとウエイトレスさんを呼び、冷やし中華、あの、外に旗が出ていたやつ、とおそるおそるなぜかこちらがたどたどしくいうと「ゴマダレでよろしいですか?」と反応があり、無事注文を終えてます。
さて、出て来た冷やし中華はもちろんゴマダレで、具はレタス、カニカマ、胡瓜、紅生姜、海老、トマト、そしてやはり錦糸卵でした。錦糸卵は無くても良いかな感は変わらぬもののただその錦糸卵にはひと仕事してあって下味がついていて、麵もゴムまりを噛んでるようにはならずしっかりした歯ごたえのある麵で、食べながら「もしかしたら冷やし中華の本質は錦糸卵と麺にあるのではないか?」という思いを新たにしています(異論は認める)。
偶然入った店がアタリだとやはりちょっと嬉しく、おそらく他の料理も期待できるのですがしかしあまり水戸方向へ行くことが無いのが残念で、ここではてなの今週のお題「夏の思い出」を引っ張って終わりにすると「笠間でメニューにない美味しい冷やし中華に出会えて嬉しかったです」ということになりそれで終わらせてしまうと小学生の夏休みの日記レベルになってしまうので無理矢理話を茨城つながりで話をズラします。
梅林で有名な水戸の偕楽園には
杉林と竹林があり
37度とか38度とかの猛烈な暑さでもそこは扇子を扇がずに済む程度にひんやりしていて驚かされ、かつ、それらを植えた徳川斉昭公の見識の高さに唸らされています。もっとも水戸が37度38度になる将来を想像できなかったかもしれませんが。
でもって、この以前は想像できなかった暑さ、水戸に限らず来年はもうちょっと和らいでくれるとありがたかったり。