円山公園の長楽館へ

知識として知っているけど行ったことのない場所というのがあります。白川という両岸に柳が植えてある小さな川が流れててそこに掛かってるのが

切石を石柱の橋脚で支えただけの単純な一本橋とも行者橋ともいわれる小さな橋です。ドラマかなにかでみて存在は知っていたものの「ああここにあったのか」と思いました…って橋を観に来たわけではなくて。

その行者橋より南にある円山公園の中に長楽館という建物があって

紙巻きたばこで財を成した吉井さんという人の別邸であった(白く見えるのは花崗岩を貼ってある)レンガ造3階建の明治末期の外見はルネサンス風の洋館です。いまはレストランや喫茶室、結婚式場などとして使われてます。

外見はルネサンス風と書きましたが正面玄関の前には石燈篭が鎮座していて

横には苔むした石造りの構造物があって覗いてみると

手水鉢のようですがその用はいまは無していなさそうな気配です。こんなデカイの、なんのためなのか。正直意図は正解はわかりません。

でも建物内3階には茶室や書院造の和室があるので無関係ではないはず。なお3階以外は非和風で、ロココ調、新古典主義、中国風などと部屋によって内装が異なります。

一昨年京都市美術館の展覧会で長楽館の備品が展示されていて存在は詳細を含めて知っていて「いちど行ってみたい」と思っていて、週末に京都へ行ったのを奇貨としてその念願を叶えてきました。とはいうものの、喫茶室でお茶をしただけです。

通されのはかつてビリヤード室であったところで、そこで私はモンブランを食べてます。どちらかというと甘すぎない大人向けの味付けでしたが添えてあるバニラのソースにラム酒が入ってて、それが皿を舐める誘惑に耐えるのが大変なくらいクセのあるもので、もう一度来ても良いかなと思えるくらいでした。ただし安くはありません。飲み物を含め2人分で樋口一葉が居なくなります。でも味も雰囲気も含めてなかなか得難い経験をした感がありました。

ビリヤード室にはステンドグラスもあって、しかし描かれてる景色は日本のどこかっぽい気が。洋室なのですが、細かいところに和があります。

天井はおそらく漆喰で、いちいち職人さんが西洋っぽく紋様を書いて仕上げたかと思うと唸らされます。念のため確認するとこの意匠は新築当時のまま。

床のタイルも紋様らしきものがあしらわれています。東京に戻って書いてて気が付いたのですが、花のようなものはたばこの花のデフォルメかなあ。

さて、最後にくだらないことを。

関東は冬の間は北西からの風が吹いて寒いのですが、盆地である京都はそれほど風は吹きません。が、足許からの寒さが確実にありました。童謡では猫はこたつで丸くなりますが円山公園では枯葉の上で丸くなっていました。ただしバラバラ。まとまったほうが暖かそうな気がするのですが、なんでなんすかね。