大河ドラマを1年視聴して

血液型による性格分析ほどアテにならないと思いつつも、なんとなく思い当たるフシがあるのが「B型は飽きっぽい」というやつです。たとえばテレビで継続して視ていたものでも何らかのきっかけで途端に視なくなったりします。その「何らかのきっかけ」が言語化できればいいですが、途中で言語化に飽きてしまうので完遂したことがありません。それじゃダメじゃん…ってそんなことはどうでもよくて。昨日最終回を迎えた『鎌倉殿の13人』は見逃した回がないわけではないものの、比較的飽きずに最後まで視聴できました。

以下、いつものようにくだらないことを書きます。

相模川下流域の東岸に寒川という街があります。平安末期から鎌倉初期にかけて寒川周辺を本拠にしていたのが『鎌倉殿の13人』にもでてくる梶原景時で、放映当初は寒川でドラマに関する幟があってそれを目撃しています。しかしながら梶原景時は歌舞伎などでは比較的悪玉に仕立てられることが多く、「賭けだよなあ、ほんとにダイジョウブなの?」と内心思っていました。今だから云えることですが放映当初からしばらくの間は「できれば梶原景時が悪玉に描かれないように」と内心ハラハラしていたことを告白します。幸いなことに中村獅童丈演じる梶原景時は比較的優れた武士として描かれていて、当初のハラハラは無駄に終わっています。

北条時政公を演じた坂東彌十郎丈も気になっていました。後援会に入ってるわけではないものの出演作をいくつか観たことがあって憎まれない役だと良いな、と放映当初はハラハラしていました。ズルをする後白河法皇をズルはいけませんぞと諫める性格でありつつも奥さんに唆されて動いてしまうどこか弱さがあり(奥さんに唆されるところなどはマクベスをうっすら想起していたのですが)、しかし主体性があるようでなくそれでいてどこか憎めないように描かれてて、結果的には伊豆に蟄居幽閉されるものの、ハラハラは無駄に終わっています。

時政公が伊豆に蟄居幽閉されたあとは表面上はホームドラマっぽい側面があるものの陰湿なこの物語をどうやって終わらせるのだろう?とハラハラしながら視聴していました。最終回の物語の終わらせ方も予想外で、かつ、腑に落ちるもので、やはりハラハラは無駄に終わっています。

なんとなく察して頂けると思いますが、おそらく飽きずに最後まで観てしまったのは「ハラハラしながら見ていた」という個人的要因がデカかったです。

婿殿さえ居なければ背負わずに済んだものが多かったはずの・婿殿さえ居なければ平凡に暮らすはずだったはずの、伊豆の地方の豪族の悲劇の物語でもあって、決して明るい物語ではなかったはずですが「完」の文字を目にして、つい、「面白かった」と口にしてしまっています。悲劇を面白がるのは変だよなと思いつつもそう感じたのは、(大泉頼朝公などの)人の浅薄さやだらしなさやそれらがあるゆえの魅力を引き出した脚本とそれらの意図を巧く汲みとった俳優陣が優れていたということに尽きるかもしれません。

正直に書くとナレーションが最後まで馴染めなかったものの、物語の海に溺れることが出来たのは幸福だったかなあ、という気が。