甲府から南へ向かう身延線の特急で50分強、各駅停車だともうちょっとかかるところに身延という街があります。その身延の街からさらに山間部に入ってゆくとあるのが
久遠寺です。土曜に遊びではない用があって山梨に居ておそくなるのは確実だったので日帰りにせず、それを奇貨として誘っておき、用が済んだあと合流し、翌日軽い気持ちで身延まで来たものの、山門をくぐり
石畳の参道の先にあったのが
菩提梯という高低差のありそうな石段です。(1人だったらそちらを選択してたかもしれない)脇道があるのを確認し一瞬急勾配に躊躇しつつ、「どうする?」「どうもこうもないだろ」と登りはじめてます。正確な時間は計っていませんが10分程度かかったはず。達成感はありましたが正直江ノ島よりきつく、登り終えて大休止の時間となってます。あとで調べると287段あって登り切れば涅槃に達するとはいうものの「こんな涅槃なら地獄のほうが」と思うような経験です。なぜかしばらく吐き気があってそれを告げると小声で笑いながら「つわり?」と訊かれボケにのる余裕も無かったので「たぶん」と頷くとアクエリアスを渡されて、礼を述べてそれを貰ったら不思議とおさまりました。脱水症状だったのかも。
「つわり」が落ち着いたあと本堂に参拝し、ロープウェイでさらに奥の院を目指したものの
奥の院近辺は雨が止んだ直後ということもあって、(ほんとは富士山が見えるらしいのですが)眺望は良くはありません。
それでも眼下には峡南の景色が広がり、日蓮が居た身延がどれだけの山の中にあるか・俗世より離れたところにあるか、ということが理解できる程度に一見の価値はありました。なお、うねうねと曲がってるのは駿河湾に向け南下する富士川です。
身延から富士川沿いにさらに南下したところに富士宮という街があってそこで寄ったのが
静岡県立富士山世界遺産センターです。木格子で組まれた漏斗状の(水面から上の)部分がメインの展示スペースでらせん状に通路が設けられ、ニューヨークのグッゲンハイム美術館と同じく勾配のある通路を歩いてゆく構造です。勾配のある通路はほぼ映像が流されているのですが、詳細な説明をする部分ではさすがに平面になっていました。その詳細な説明はタッチパネルで行うのですが英語等と日本語の切り替えが可能なシステムになってて、インバウンド客をにらんだ施設になっています。
ただ静岡県の施設ですから山梨のことには多くは触れられていません。でも歴史博物館的機能を持ついくらかマニアックな施設です。たとえば静岡側の富士信仰は仏教色が強かったことなどを見学してはじめて知りました。
個人的には効率性を無視した建物が大好きで、つい、その方面からもじっくりと鑑賞しちまってます。
あわただしい小旅行になっちまいましたが、もうちょっと遊んでいたいのを封印して帰京しました。見知らぬ土地や新しい博物館を見学するというのはいくらか刺激的で、疲労が無かったわけではありませんが後悔はなかったり。