裸の王様(もしくは行政指導のこと)

私は大学では塩ラーメンになぜごまがついてるのかの研究…じゃねえ、法学部生で、しかし(あほうがく部卒を自称する程度なので)法曹の道には進んでいません。就職してからも卒論で書いたテーマとは関係ない醤油ラーメンになぜ海苔が載っているのか…じゃねえ、たとえば道路法に関するような仕事をしていたことがあります。自治体との交渉をやっていた時期もあって、なので行政手続法に目を通す機会がないわけではありませんでした。

さて、行政手続法は、32条1項で「行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によっての未実現されるもの」と書いてあって、2項は「その相手方が指導に従わなかったことを理由として、不利益な扱いをしてはならない」とも書いてあります。

休業要請や酒類の提供自粛などに従わない店に対して国が取引先の金融機関などを通して働きかける、というのを新聞を読んで、私は以前読んでたとはいえバカなので条文が咄嗟に正確には思い浮かばず、32条の条文の文言を確認してから「どうしてそんなことができるのだろう」と思っていました。時間の経過とともにその政策は撤回されることになりはしたのですが、発表するまで「それはできません」とチェックする人が・忠告する人が、居なかったとしたらそれはそれで限りなく裸の王様が権力を握ってる証明になってしまってる気が。

博多華丸大吉師匠の漫才は華丸師匠の独特の世界を大吉師匠がチェックして忠告することで笑いが生じます。不粋なことを書くと昔話をネタにした漫才では三匹の子豚に博多の工務店が介入してその異常さを大吉さんが忠告し・突っ込みます。チェックや忠告があるからこそ、異常なものがあっても人は笑えます。童話の裸の王様も、最後にチェックが入るから笑えるのです。

裸の王様が裸の王様だと最後まで気がつかぬままだとと笑えないし、周囲が気がついたとしても(「放っておけ」と)忠告しない状態もやはり笑えないものなのだな、と思わされたのですが、なんだろ、あんまりにも笑えないので、今回の件がほんとフィクションだったらよかったのに、とは思っちまいました。政治オンチがバレそうなのでこのへんで。