SHIROBAKO本田さん問題

なんだか連休明けの解除は絶望的で、そのことに触れると気が重くなるのでMXでやっていたアニメのSHIROBAKOの話を引っ張ります。本作の中には本田さんという恰幅の良いふだんは穏やかな制作デスクがいます。唯一の欠点が心配性なところで、心配性がなせる業なのか後輩にあたる制作セクションの主人公に対して気になることを矢継ぎ早に細かく多くのことを問い詰め確認するシーンがありました。本田さんに悪気があるわけではないもののやられたほうはたまったものではないはずです。(記憶に間違えなければ)本田さんはその場に居た同僚に「そういう追い込みかたをするな」と窘められます。ただ本田さんのやり方は事前に失敗しそうなところをあぶりだし危機を回避しようと思えばできます。

話はいつものように素っ飛びます。

立川談春師匠の「赤めだか」の中に

教える側がいずれ通る道なのだから今のうちに伝えることは、教えられる方には決して親切とは云いきれない、ということを僕は弟子を持ってみて感じた。混乱するだけなのだ

立川談春「赤めだか」P80

というくだりがあって、一時的に人に教える立場になったときに似たような経験をしてとても腑に落ちています。人はいっぺんに短期間に多くのことを学べるとは限らないです。

さらに話が横に転がります。

日本テレビ系列で鉄腕DASHという番組があって長く続いたコーナーにDASH村があります。日本家屋の再建のあたりは録画しつつ興味深く視聴していたのですけどそれ以外にも農作業もありました。その農作業の指導に当たってたのが(亡くなった)三瓶明雄さんです。毎日新聞にはTOKIOの城島リーダーの連載があって27日付のコラムでは三瓶明雄さんに触れていました。興味深かったのは明雄さんは失敗するとわかっていたはずのことでもあまり口を挟まずにいたらしいのです。(恥ずかしながらあまり追ってないものの)いまDASH島では城島リーダーが後輩にあれこれ教えてる(ような)のですが、昭雄さんの影響で安全にかかわること以外は巧くいかなくても多くを語らずに、失敗してもそこから学んでもらう≒こうすれば失敗するということを学んでもらう、のだそうで。

話がとっちらかって恐縮なのですが。

失敗を許容しながら育てる城島リーダー+明雄さん式、かつ、相手のペースに沿って育てるのが理想的で一番いいのかもしれないとは思うのですが、現実にはそうは云ってられないこともあるわけで。

これから先は答えの出ない・出したくない問題です。

後輩を問い詰めるSHIROBAKOの本田さんを髪を拭きながら眺めていて幸か不幸か「おれ、本田さんみたいな追い込みかたをされたことなかったな」と気が付いています。なので他人にもしたことがありません。いままでのところ他人に仕事を任せたりしても本田さん式を取らなかったものの致命的な失敗をしたことはありません。ただ失敗が許されない状況の中で人を育てるとしたらどうするのがベストなのだろう、ひょっとしたら失敗を防げる本田さん式がいいのだろうか、ということをずっと考えてるのですが、答えが出ません。出したくないってのもあります。というのは細かいところを確認する(相手を追い詰めかねない)本田さん式に生理的嫌悪があるからです。現時点で教える立場にないので気楽なのですけど、なんだろ、いい年こいてもしかしてええかっこしいというか甘ちゃんかもしれなかったり。