塩原へ

理屈ではないいくらかおかしなことをちょっと書きます。血を分けた兄弟ではないけど四十肩で1年以上まっすぐ肩が上がらない相手をみるとなんとなくおだやかではいられないところがあります。で、あたためるぶんには良いらしいのは知っていて、および疲労回復を兼ねて、温泉に行くことを相談して決めていて、宿がとれたのでこの土日で塩原の温泉に浸かっていました。

向田邦子さんの「あ・うん」という小説があります。主人公の夫婦の一人の娘が栃木の塩原に駆け落ちしようとするところがあって(それを夫婦と奥さんにひそかな思慕いだいてるもう一人の主人公である友人が追いかけて3人で塩原で一泊する夜の描写がある)それを読んで塩原の名前は知っていたので、以前からどんなところなのだろうと長いこと思っていました。実際に行ってみると山間の温泉で、いまは川べりに比較的でかい旅館が立ち並びます。泊ったところではありませんが写真の右は関東の人間なら知っているであろう「ホテルニュー塩〇」です。ちゃんと書くと古くからの温泉場らしい建物も残る一方、廃墟もありました。
この週末、積雪はほとんどないので雪見の温泉にはなりませんでしたが小雪舞う状況であたりまえのこととしてけっこう寒かったです。でもって同行者がうしろで帯を結ぶのがいくらか困難なので(私が結んでてできればその姿をなんとなく他人に見られたくなくて)貸切のできる風呂のある宿を選んでいました。風呂は加水はできるけど湯かき棒でよくかき混ぜることを推奨してて(おっさんが全裸でお湯をかき回すところをご想像ください)、かき混ぜたあとおそるおそる入るとそれでも比較的けっこう熱めのお湯で、でも慣れるとほんとなんとも思わなくなるというかいい湯だなと感じられ、外気が寒くてもあんがい気になりませんでした。長いこと雪見の温泉って寒くないのかな、と考えてたのですが、熱い風呂なら関係ないのだなということに気が付きました。謎が解けたというか、なんだろ、文字にすればどってことないことですが。
肩をあたため、効能の中に保湿美肌に良い、ってのもあったのでおそらくいくらか美肌になってから帰京したのですが途中で宇都宮に立ち寄ってて

カソリック松が峰教会を見学しています。宇都宮市で採石された

大谷石をつかった鉄筋コンクリート造石張りの教会で、

東側から入って西に祭壇が置かれています(くだらないことなのだけどニコライ堂が東向きなので最初ちょっとだけ違和感があった)。窓の上部などに半円アーチがあるいわゆるロマネスク様式です。内部は信仰の場だと思って撮影を自粛したのですが、やはり半円アーチを多用してています。内部は上半分白で、下半分は大谷石むき出しであったのですが南側の窓がすべて黄色系のガラスでまとめられていて、差し込む光が薄く黄味がかっててそれが視覚的に妙に印象的でした。最初にその光景を目にしたとき、しばらく動けなかったくらい。

餃子も食べてて、入った店の餃子の味噌だれで食べるもので、その味噌だれがコクがあってなおかつ酸味が利いてて美味で、餃子は醤油か甘酢ダレで食べていたほうからすると味噌だれで喰うこと自体が目からうろこでした(宇都宮餃子全体がそうではないようなのですが)。旅行で不意に見知らぬ味に出会えてちょっと嬉しかったです。