幽霊の法的問題に関する返答(追記あり)

☆をいただいた方からもし幽霊がいたとして幽霊にまつわる法的問題はどうなるのかという趣旨の問題提起がなされていて、私は幽霊というのは怨念などの人としての意思が存在はするので基本的に私権を与えるべきなのではないか、と考えつつも、幽霊という存在が確定しない以上、確定しない存在には現時点では人としての私権等については不必要のはずでやはり否定的です。ほんとつまらない結論になります。

でもなんですが。

興味深い論点だと思うので続けます。民事訴訟の場合、原告も被告も人や法人や自治体であったりします。でも以前、アマミノクロウサギ訴訟(鹿児島地裁H13・1・22)というのがありまして、アマミノクロウサギなどを原告にして訴訟を提起しまして、鹿児島地裁は動物には原告となる当事者能力は結果的にないとして却下したのですが、(ここらへんとても素敵で不思議な役所である)裁判所は動物を原告とすることに対して必ずしも全力で否定してるわけではなかったりします。座敷童とか「人間ではないもの」が原告被告になる訴訟は現時点では難しいですが、可能性は皆無ではなかったりします。

もうちょっと続けます。

仮に幽霊が何かしらの器物損壊や業務妨害を行ったことが明らかなとき(もちろんそれを証拠として提出するのは難儀なので相当の苦難が予想されるのですが)、損害が拡大しないように幽霊に近づかないようにする民事保全法上の仮処分や幽霊に対して損害賠償請求ができないとなると、不利益を被った側が泣き寝入りをせねばならず結果として不合理なのです。もちろん幽霊に対して仮処分や損害賠償を認める判決が出たところで仮処分を守るわけではないでしょうし賠償金を踏み倒す可能性が高く、そんな命令や判決書きはトイレットペーパーほどの価値もないのですが。でもこういう対策をしましたよ、と対外的に明示できるので、ないよりあったほうがいいはずです。

幽霊について存在が確定するなら私権や送達先をどうするかなどの問題はあるのですが民事訴訟上の訴訟能力について検討の余地がないわけではないかなあ、と。

(誠実な返答になってないかもですごめんなさい)

[追記]

はてなブックマークをやるつもりがないのでこういう追記で返信させてください。と同時にちょっとつっこんだ話をさせてください。

現行法上の問題(というほどではないけどとりあえずシロウトが考えられること)について申し上げます。専門家には釈迦に説法かもしれませんがおつきあいください。死についてなのですが戸籍手続きとしては届出のときに医師の死亡診断書を要求していて、死亡診断書が無ければ戸籍上は死という扱いになりません。でもって戸籍法は届出主義です。心臓が停止しても、万一死亡診断書を添付せず誰も届出をなさなかった場合、戸籍法上は死になりません(自治体は基本的に戸籍を職権で消除することにわりと消極的です)。生前の怨念を引き摺って幽霊もしくはゾンビが戸籍上は生きている状態である場合、形式上は私権が認められる幽霊もしくはゾンビになるのではないかと考えます。幸いなことに幽霊やゾンビの存在は確定していませんからいまのところ問題になりませんが、万一幽霊やゾンビの存在が明らかになったあかつきには戸籍法上死亡していない幽霊やゾンビの法的問題(戸籍上死亡してない幽霊の年金受給権とかどうなるのかとか)について整理しなければならないのではないか、と。幽霊の法的問題ということに関して、kokubunzakaさんの着眼点は決して滑稽なものではないと思っています。

リングを読んでないのでそれについては語れないので知ってる事例から書きます。神奈川ローカルな話で恐縮ですが、以前茅ヶ崎で線路に子供がいるのを複数の人が確認して通報したけどでもいなかった、幽霊のいたずらか、なんてことがありました。実際に幽霊が茅ヶ崎にいるかどうかはわかりません。でも茅ヶ崎の事例を知ると幽霊が人間に対していたずらはしてるようなので、なにかしらの不利益を与えることはありえるかなあ、とは思います。yutoma223さんの挙げた事例で考えると、仮に幽霊の存在が明らかになって、ある物件に人に不利益を与えかねない幽霊が出て死亡事件が相次いだら、その物件の所有者はなんらかの責を負わねばならぬのか、もしくは幽霊が原因で死亡事故を引き起こしかねないことを貸主は予測して対策をとっておかねばならないのか、という論点は浮上してくるはずです。

つらつら考えると幽霊やゾンビは存在しないほうが平和な気がします。ただ六道の辻の向こう側へは行ったことが無いのでわかりません。幸いなことに目が悪いので幽霊の存在が確定しても気づかずに済みそうなのdうわなにをするやめr