「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」を読んで1

仮に変質者っぽい男が居たとしてそのそばでちっちゃい子が泣いていたとします。そこに通りすがったら介入するでしょうか。正義の味方ならたぶん介入すると思います。正義の味方が介入して変質者っぽい男に尻にケリを入れて、そのあとケリを入れた男がちっとも変質者ではなくむしろ迷子を保護しようとしていた善意の塊とわかったらどうするべきでしょうか。善意の塊と正義の味方の衝突の結末は、ケリを入れた正義の味方が誤りを素直に認めることで事態は急変します。正義の味方は自らの尻にケリを入れろと催促し、善意の塊は催促された通りにします。

↑のエピソードはここのところ何度か書いている「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」という(ライトノベルズの定義は知らないのですがいわゆる)ライトノベルズで描かれた重要な場面のひとつ、かつ、個人的にしびれた場面のひとつです。介入してケリを入れた正義の味方は女子高生で、善意の塊は主人公の男子高校生です。間違いを率直に認める点や何気に相手の意思を尊重するところが読んでいてフィクションとわかりつつも「こうありたいな」と思わせるところがありました。善意の塊はデートに行く途中で正義の味方も友人との約束があるのだけど、尻をケリあったあと警官がやって2人を連行しますし、善意と正義の衝突の結果尻をケリあったことが後日別の事態を引き起こすのですが、どうなったかは本をお読みいただくかBS11とABCで7月から放映するアニメをご覧いただくとして、はてな今週のお題が「2019年上半期」なのですが、この半年は「青ブタ」シリーズにいくらかのめり込んでいました。

前にも書いたかもしれないのですが、再度書きます。物語のなかで登場人物の行動についてそうせざるを得ない相応の原因もしくは理屈があってそれらは明示され、また、起きた事象についても不可解にみえますが量子力学を含め説明があり、たとえとして適当ではないかもしれませんがそれらを読むことでよくわからなかった数学の問題の解説を聞いて霧が晴れて腑に落ちたのと似たような快感を味わっています。のめり込めたのはその快感が原因かもしれません。でもって「原因があってそれが結果としてあらわれる」ということで物語は成り立っているのだな、と書いてしまえばあたりまえのことも再認識しています。それが明解ゆえに(複数の登場人物の内面に心を抉られつつも)惹きつけられたところもあります。

バカにされそうな個人的なことを書くと(まだ続くのですが)この半年はいくらか仕事がハードでした。そんな中で(MXは1月から放映していたので)青ブタのアニメを視聴することや原作を読むことや映画を見に行くことを突っ走るためのニンジンのひとつにすることで、ハードな日々を乗り切っていました。美味しいニンジンがあること≒フィクションに触れる楽しみがあったことはこの半年、ほんとありがたかったです。