コショウ

Curiosity killed the catという言葉があります。直訳すれば好奇心はネコを殺す、です。目の前のものがだいたい理解できるとなんとなく別のことを試したくなります。もちろん失敗もあります。いちばん高尚でない失敗はリング状の振動するおとなのおもちゃでしかるべきところに装着したあとなんとはなしにコントローラーを渡されて、強にするとどうなるのだろうと実行したことがあり悶絶し、ネコではないので死んではいませんがそれを眺めていた相手にどうしてそういうことをする?と笑われています。でもって、想像は好奇心を止めることはできません、が、好奇心を止めることができるのは失敗の経験です。失敗の経験をすると若干、臆病になります。以降、その手のおもちゃで自発的に強にしたことはありませんってそんなことはともかく。

ひとりでない今週末、お茶漬けにコショウを入れて食べたい、と相手からいわれました。おそらくテレビでやっていたっぽいのですが、たぶん想像が好奇心を止めることができてないゆえの発言です。「んなもの、永谷園のお茶漬けでひとりでやりゃあいいじゃん」というのは口まで出かかったのですが、いわれると見当がつかず、伝染して私も想像が好奇心を止めることはできませんでした。うまくいくかどうかわからないけど、という留保をつけてやってみることにして、番茶?煎茶?出汁?と訊いたら、任せるということだったので、以前ブラタモリでコショウめしを出し汁で食べてたような記憶があるので、だしパックでだし汁をとって、それを挽いた黒コショウをかけたごはんの上に流し込んでみたのですが、特段美味しいというわけではないもののコショウを利かせると別の世界が広がった気が。

幸いにして今回は失敗の体験はせずに・臆病にならずに・ネコではないから殺されずに済みましたが、食器を片しながら、お茶漬け以外になにかあるかな、と想像しはじめた時点で好奇心を抑えきれなくなる萌芽があって、なんだかそのうち失敗しちまうかも。でも失敗を恐れずちょっとずつ、試してみます。