慣れぬこと

くだらないことを書きます。10代の頃、人に読んでいることを知られたくない本を買うときは、昔住んでいた街の本屋では買いませんでした。よその街で買っていたのは一例を挙げると「ここはグリーン・ウッド」という漫画の単行本で、少女漫画雑誌連載だったので記憶に間違えなければ花とゆめコミックスで、〇〇さんちの息子は少女漫画を読んでいる、と知られるのがイヤだったのです。もっともそれらが本屋の店主に知られたところで言い触らすとは限りませんし、言い触らされたところで死ぬわけでもありませんから、これらの行動はもしかしたら・いまからおもえば噴飯ものかもしれません。少女漫画を読むのは軟派であってそれを知られたくはない、なぜならカッコイイ硬派の男としてみられたい、という欲求が無駄にあったゆえの、自意識過剰というやつです。

私は同性にチョコを渡したり貰ったり、という関係を構築しています。でもっていまの時期、大丸の特設チョコ売り場へ行けば「ああこの人は女性から貰えないから自己チョコを買ってるのか」と思われる可能性があります。もちろん自己チョコ買いと思われても良いのではないかと脳内でちょっとは結論付けようとするのですが、数分後にはここはグリーン・ウッドの頃から培ったカッコイイ硬派の男でありたいという10代後半の頃からの自意識過剰が二十数年経て脳内で枯れずに育ってきちまってるので自己チョコ買いするような軟派にみられるのはなあ、と、なかなか割り切ることができません。チョコを買わずにバランタインウイスキーで済まそうかとか考えたこともあるのですが、チョコを期待してるフシはあるのであんまり裏切りたくありません。鏡の前でひげ剃りながら目が大きいと女装映えするっていってたけど女装はするくらいなら舌を噛んで死ぬ方がマシだよなーとか、(社会の在り方に転嫁して)男女均等の社会なんだからもっと男がチョコを買いやすくするべきなんだよとか、2月上旬はあれこれ思考が謎発展しててちっとも硬派ではないカッコよくない大人になり果てます。

はてな今週のお題が「わたしとバレンタインデー」です。ここ何年かは狙いは通勤につかうJRの駅ビルの中にある、ケーキも売ってる洋菓子店の支店の隅に置いてあるチョコなのですが、風邪でもないのにマスクをしてメモをみるふりをしつつ近づき、勇気をふりしぼって購入しています。何回経験しても慣れません。今年は問題を先送りしていてまだなのですが、この週末、東京は雪が降るようなので人出が少ないと踏んでそれを奇貨として、覚悟を決めて準備するつもりです。ほんとはチョコって勇気とか覚悟とかが必要なものではないはずなのですが。