年をとる

白髪がそれほどなかった頃、年齢不詳気味であったのでほんとはいくつなのかと年を訊かれることがあって、そのときは、小首をかしげて人さし指と中指を頬にあてて「18でーす」とやっていました。幸か不幸か白髪がそこそこ増えて少なくとも中年にみられるようになったので、まず訊かれることはありません。これを書いているのは残念ながら18の紅顔の美少年ではなく、あわよくば訊かれたら「18でーす」と答えようとしてる以前より面の皮があつくなってしまったほうの厚顔の40代のおっさんです。

以前に抱えていた仕事でかかわりがあって、「あなた思ったより頑固だったよねえ」とほめ言葉とも悪口ともとれる批評を頂戴したことのある年上の他所の組織の人と今日面会する機会があって、「あ、もしかしてそろそろ定年かな…」などと直前に気が付いていくらか動揺したのですが、「もうちょっと厄介になる」旨のことを知らされました。こちらに要求するレベルはけっこう高いのだけど個人的にはかなり信頼してて、文字にすれば定型なんすが「引き続きご指導ご鞭撻のほどを」というあいさつもしてきたのですが。

巧く書けないのですけど両親が死んでからなんとなく年齢の意識が希薄です。おのれの年齢はもちろん知っているのですが(ちゃんとした大人になってない意識があってその)意識してる年齢はそのずっと下のままです。仕事上の付き合いのある人もなんとなく最初のときの印象が強く、白髪の少なかった30代だったおのれが40代になるとかつてお世話になった人もあたりまえのように同じぶんだけ年をとるんだよなあということにあらためて気づかされました。文字にすればなにバカなこと云ってんの的な、至極あたりまえのことなんすが。