紅葉

紅葉という名前の女性が京の都に居ました(もとの名を呉葉ともいう)。ある暑い夏の夕方、やんごとなき一族の奥方が涼みに外出したときその紅葉が弾く琴の音に引き寄せられ、それが縁となりその奥方の一番女中に出世します。ついにはそのやんごとなき身分の当主に寵愛されるようになり、子どもまでできちまいます。 するとこんどは奥方が邪魔になってきて、奥方が病気になって亡くなるよう毎晩祈りはじめ、それが見つかると紅葉は信州の戸隠に流されちまいます。身につけた妖術を使って病人を治したり琴を教えたりしたので尊敬されるようになりはしたものの、京都へ戻りたい、愛されたい、といつしか思うようになりました。時間の経過とともに鬼になってて山賊たちを妖術で従え、悪事を働くようになります。その噂が信州からついに京まで達し「退治せよ」ということになります。歌舞伎に紅葉狩という演目があって舞台の信州戸隠になぜ鬼がいるかということについての、根っこにある話です。
これ、妖術がでてくるところでけっこう現実にはあり得ないであろう突飛な話なのですが、なぜかけっこう突き刺さる話であったりします。最初は抱いてくれるだけでもうれしいのにそれを独占したいのはよくわかるよなあとか、過去に愛された経験を持つだけじゃそのあとを過ごすのはつらいよなあとか、いつしか気がつくと鬼に肩入れしてたりします。実は私は鬼の素質を持っていて、たまたま鬼にならなかっただけかもしれません。主語の大きい話は良くないと思いつつ、なにをきっかけに人は鬼になるかなんてわからないよなあ、と思わないでもなかったりっててめえのことはともかく

はてな今週のお題が紅葉なんすが、東京はまださして赤くなっていません