前にも書いたかもしれません。職場に女の人の名前はそんなに憶えないけど男の人はきっちり覚えていて声をかけるという先輩がいました。「くすだっち(仮)オハヨー」とニコニコいうものの、女性陣にはあんまり氏名を云って声をかけないのです。まず女性陣がそれに気がついて状況証拠ひとつだけでいつの間にか「あの人はゲイではないか」ということになっていました。いまでも覚えてるのですが「楠田くん(仮)気をつけてね」っていう注進があって、その注進から同性愛者というのは「気をつけなくちゃいけない存在なのか」というのを思い知ります。同性愛という存在に対しておそらく同格とみていないのを目の当たりにして、私は臆病になって勤務先ではカミングアウトということを考えなくなりました。でもってこれを書くと魔性の男っぽいのですが、告白してきた複数の同性にはおのれの性のことを告げたことはありますが、おのれのことも相手のことも積極的に明らかにしたことはなく、性のことは墓場まで持って行くつもりです。LGBTのパレードなどを知るとほんとは明らかにしたほうが政治的に正しくて良いのかもしれないと考えることもあります。でも臆病なのでそれが出来ずにいるのと、「正しくなくちゃ死ぬわけでもないしな」とも思っているのでずっとそのままにしていますって話がずれた。
話が素っ飛ぶのですけど「命より大事なものがありますか?」っていって、人によってはそれがあることがあります。東京ローカルな話で恐縮ですが東京の法科大学院生が同性の同級生に告白しそれを暴露されてしまって自殺、という事件があったのですけど、命より大事なものがあったとすればその選択を理解できなくもないと思いました。私は臆病なくせして厄介なプライドがあるので同じ状況に置かれたら生き地獄のような気がするので、死の選択というのをしていたかもしれません。
引き続き東京ローカルの話で恐縮なのですが、多摩にある国立市
「何人も、性的指向性自認等の公表に関して、いかなる場合も、強制し、若しくは禁止し、又は本人の意に反して公にしてはならない」
という条文を含む条例が施行されました。罰則はありません。私は非国立市民ですしあまり関係はありません。そもそも実効性を考えるとかなり怪しいものがあります。ただ実効性は怪しいとしても、厄介な性を抱えてしまってる人間からすると・命より大事なものがあると思ってる方からすると、考えてくれている自治体があるのか、とちょっとありがたく思いました。