欽ちゃんのアドリブで笑2

NHKBSでやってる萩本欽一こと欽ちゃんの、コントに関するノウハウを小倉久寛劇団ひとり中尾明慶といった俳優陣にワークショップ形式で教える番組の2回目があったので視聴しました。後半、ゲストにゴダイゴを呼んで即興で曲を作ったりってのは「すげーなー」と思ったのですが、やはりどうしても注目してしまうのはワークショップの部分です。前回同様、台本なしの全編アドリブです。前回も同じことを云っていたのですが冒頭、出てきただけで拍手をするのではなく「うまい!」とか「面白い!」とか感じたら拍手するようにお客さんに要求するところからはじめました。したがってお世辞とかお付き合いの拍手はほぼありません。
まず出てくる俳優陣を紹介しながらその場で会話でのしりとりを要求します。会話のいちばん最後の語尾でしりとりしながらつないでゆくのですが、興味深かったのはその場の空気が必至になればなるほど・なんとかつながるほど、それはそれでどうなるかわからない面白さがあるのです(サーカスの空中ブランコみたいな、といえば理解してもらえるかもですが)。
次いで順番に欽ちゃんが手を叩いて各人の反応をみたあと「痛がる芝居」について「みんな手で芝居しようとする」「それはやめていくべき」と欽ちゃんは主張します。手を叩かれて足で痛みを表現すべき、と誘導したのですけど、考えてみたら思うようにならないことが起きたときは人は全身をくねらせたり足をじたばたさせたりするわけで(地団駄を踏むという言葉もありますが)、けっこう腑に落ちるところがありました。さらにそこに言葉にならないような言葉≒音を付け加え、深みを増すことをやってみせてて、どってことない「叩く」という動作からそこまで膨らませることができるのかとシロウトは唸っちまったんすけど。
コント55号で帽子屋というコントがあったのですが、その設定を流用して帽子を買いに来た欽ちゃんに「買わせたくなるようなアドリブ」を要求します。セリフで云わず体で表現しろ、といわれて手や表情で試着した帽子が似合ってるかを表現していたのですが、それを観ているとやはり言葉だけでなく身体表現も大事であるのだなあ、と思わされます。その「帽子屋」の過去の映像もちらっとでてて、小倉さんがそれをみてコント55号が「ボケ」と「ツッコミ」とは云わず欽ちゃんの「フリ」と二郎さんの「コナシ」で成り立ってると解説していて、その分類も腑に落ちたのと、笑いを生み出すパターンは単純ではないのだな、ということがなんとなくわかりました。
でもって欽ちゃんの根っこにあるのは笑わせるのではなくきちんと芝居をすることです。コント≒お笑い、というのではなく、コント≒芝居+αということがうっすらと理解できました。お笑いがなんたるかは理解してないものの、なんだかすごいものを見せてもらってる気が。