米国の同性婚に関する連邦最高裁の判断

アメリカの場合州法というのと連邦法というのがあります。以前から同性婚は州法で認められることがあり、バーモント州ニューヨーク州を筆頭に同性同士の婚姻が州法で認められてて、じっさいに有効です。それとはまた別に連邦法として結婚防衛法というのがありました。こちらは結婚は男女のものであると規定しています。でもって結婚防衛法の下では異性婚のカップルにはある税金の優遇措置が同性婚カップルには適用されません。異性間のカップル同士のみで財産が移転する場合では配偶者控除が無制限に近いので相続税がかかりませんが、同性間ではそうはゆきませんでした。州法より連邦法が優位するので同性婚が合法化された州で法的に結婚していてもです。でもって数年前に40年間同棲のあとカナダで婚姻した女性が(ニューヨーク州の裁判所は外国での同性婚も正式な婚姻と認める判決をだしていた)、パートナーの女性の財産に死後に相続税(正確には連邦遺産税)がかけられたことに対して訴訟を起こし(連邦法である結婚防衛法の影響で異性婚のカップルと異なっていたこと≒配偶者控除ができないのは不当として訴訟を起こし)、その結果合衆国憲法修正第5条の「法の適正な過程(due process of law)によらずに、生命、自由または財産を奪われることはない」というのが守られてないのではないか・婚姻防衛法は違憲ではないのか、という論点になり、連邦最高裁で9人の判事の意見は5対4で割れながらも違憲・一部を無効とするという方向になったのが2013年の6月です。一部の地域では婚姻は男女のものである、という概念が無効になった、といってもいいかもしれません。
ながーく書いたのにはわけがあります。
話がややこしくなるのですが、この2013年の判決においては議会が自らの考えに合わせて法律を立案する大きな権限を有することを確認しており、同性婚を認めるかどうかは州の判断に任せていました。ハワイは州法を変えたんすけど、そうでないところもあります。ユタの場合は当事者が同性婚を州法で禁止してるのは違憲として裁判で争って同性婚禁止の法を持つ州側が1審2審で負けさらに連邦最高裁で負けて同性婚が結果としてOKとなったところもあります。ここらへんアメリカの不思議でとても素敵なところなのですがオハイオ州控訴審を扱う裁判所では同性婚を認めない方向の判決が出ていました。裁判所も割れていて、そこで連邦最高裁が収拾に乗り出したというかこの問題を審理をすることになりました。アメリカの合衆国憲法修正14条にはいかなる州も管轄下にある何人に対しても法の平等な保護を否定してはならないという趣旨の条文があります。修正14条が同性の婚姻について射程距離に入っているか、というのと、州外で認められた婚姻を州に対して認めることができるか、というのがテーマです。
でもって26日に連邦最高裁で結論が出て、各州は同性間の結婚を許可し、他の州が受理した同性婚も各州は認める必要がある、ということになりました。全員一致ではなく5対4の結果です。
婚姻というものが男女という外形的なものでなく古くからの慣習にとどまらずに同性であっても意志さえあればその法的効果を認めるという方向へ踏み出した海の向こうの決断・勇断に、ニュースを聞いた時にはただ感嘆の声を上げちまったんすけども。