新宿から青梅特快で西へしばらく行くと西立川という駅があって、かつては駅のそばに米軍の飛行場がありました。「かつては」ってのは飛行場機能はいまの横田基地に移転して今はないからです。跡地は裁判所、国語研究所とか統計数理研などが移転し、レインボープールというプールや公園のほか医療センターと防災基地ができています。ただ断層がすぐそばに走ってて「えーそんなところに医療センタや防災基地たててどうするのー」ってのがあるのですがそれはともかく。でもって米軍が立川にいたころに基地を拡大する計画がありました。結果的に計画倒れに終わるのですが、その基地拡大の反対運動がいわゆる砂川闘争と呼びます。砂川闘争のなかで基地内に入って刑事罰で罰せられた人が居て、その裁判の第一審では駐留米軍違憲として、基地内に入った人を無罪にしています(裁判長の名前をとって伊達判決っていいます)。検察が跳躍上告(法律が違憲であるとした第一審判決に対して最高裁へ申し立てること)し、最高裁で争われますがざっくり書くと「9条はわが国の平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることは禁じていない」ってのと「一見して、きわめて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外」であるとして第一審判決は破棄差し戻しになりやりなおしになります。でもってその差し戻しを決めた最高裁の判断(最大判 S34.12.16)の中に「国家の自衛権」について「固有の権利」という言葉が出てきます。憲法の授業で何割かの法学部生・私のようなあほう学部生は砂川という言葉とともに記憶します。集団的自衛権に関して砂川闘争の判決の話がでてきてて、はるか昔に読んだよなあという学生時代の追憶にちょっと浸ったあとあれは個別的自衛権はともかくとして集団的自衛権に触れてたっけという疑問がでてきたんすけど、おそらく集団的自衛権についてまで判決の射程距離に入っていないはず・おそらく論じていないはず・考慮していないはずです(はずですっていうのは私が憲法学者でもない一介の、勤務先は五階のどこにでもいるようなサラリーマンだから不勉強なので断言できない)。というか法曹に進まなかったものの裁判所に絡む仕事をいくつかしてきたので身をもってこれだけはいえるのですが、裁判所は個別個別の事案を解決する権限しかないし、そのためにいわんでいいような不要なことについてまでまず判断しないです。拙い知識で考えると、砂川の判例集団的自衛権ために引用して論拠とするにはムリがあるのではないかなあ、という気がしてなりません。ほかに論拠とするものがないのかなあ。
最初に今まで組み立てた理屈では手の届かないところ・関係ないところに「○○したい」という結論があって、そのあとに理屈をつけてもろくなことにならないです。理屈があればいいというわけでもありませんが、理屈がいまいちなのも悲劇です。政治のことはあまり書きたくないのですが、悲劇的状況なんじゃないのかなってのがぬぐえなかったり。