京都国立博物館の紹介番組をみて

あまりちゃんとテレビを視聴する時間がとれてないのですが、気になったものはリモコンで録画して視聴しています。世の中便利になった!ってそんなことを書くつもりはなくて。
今秋京都の国立博物館が再オープンしてて、井浦新さんと青木さやかさんの進行役で紹介番組をNHKで深夜にやっていました。鳥獣戯画という京都・高山寺にある巻物に興味があってそれを目当てで録画・視聴してたのですが、鳥獣戯画より興味深かったというか番組のキーポイントは青木さやかさんでした。青木さやかさん自身はほとんど展覧会に足を運ばないことを明言してて、しかし井浦さんや京都の帯屋の旦那さん、仏師や京博の関係者の方があれこれ興味を持つようにイヤミなくフォローしつつ説明していました。たとえば仏像でも左右対称に作っていないと印象が変わることがあります。青木さんは仏師から説明を受けたあと素直にその知識を吸収し、納得していました。
でもって京博内に茶室があって、そこに西行の書がかけてあり、武者小路千家に伝わる黄瀬戸の花入などを持ち込み茶席が設けられていたのですが、そこで事件は起きました。事件ってほどでもないかな。さりげなく置かれた歴史的な名物を前に青木さやかさんが武者小路千家千宗守さんを前に
「知識がないから恥ずかしい気持ちが」
といいかけると、千宗守さんが
「その恥ずかしいと思う気持ちがいけない。向上心を妨げるのではないですか」
と畳みかけたのです。
日本の芸術に関していうと知識があるとなんとなく理解が進むことがあります。幸か不幸か知識がないとてんで理解が進みません。私個人的に知識が偏りがあるので、なにかを見学したとしてもなにがどういいのかわからないときはほんとわからないことが多く戸惑うこともあり、「知識がない→恥ずかしい」というのは、他の人が知ってることを知らないという点で、身に覚えのあることであったりします。画面の中の青木さんの何割かはわたしです。ぽろっとそれをいってしまう青木さやかさんの率直さもすげーなーとおもいました。同時に千宗守さんのいう「その恥ずかしいという気持ちが向上心を妨げる」という指摘もなんだかそのとおりで、唸っちまうのです。知識がないことを恥ずかしいと思うところがないわけでもないほうなのでなんかこう、ひどく印象に残りました。ただなかなかその「知識がない→恥ずかしい」を捨てることは、「○○がわからないなんてわからない」なんてのが多い社会では・まんべんなく知識を知っていなければもの知らずとされてしまう同質性を要求される世の中では、けっこう難しいかもしれませんが。
鳥獣戯画の紹介もきちんとしていて、実物を眺めてみたいなーと思えたのですが、京博はいかんせん遠かったり。