ナチスの手口

ワイマール憲法下でヒトラー政権・ナチスがドイツで独裁が可能になった理由の一つに全権委任法というのがあります。立法府が行政府に対し立法権を含む一定の権利を認め、議会制度に関するものでない限り制定された法がワイマール憲法に反しても問題ないとする、全権委任法を時限立法を議会で通過させ、議会が事実上行政府に対して立法権を委譲し、行政府に立法権があるので行政府のトップ≒ヒトラーはわりとやりたいことをやれました。ワイマール憲法はそのまま全権委任法下も生き残ってます。ただし死文化した、というのが正しい解釈かもしれません。全権委任法の成立には総議員の3分の2以上が参加したた上で参加議員の3分の2以上の賛成を必要としたものの、教会に関して干渉しないことを約してたので教会を基盤とする政党を取り込み、賛成しそうにない共産党社民党を選挙前に少数派に追い込むか拘禁したうえで成立しました。
そこらへんの歴史を踏まえてかどうかは判らぬものの、憲法改正に関して「ナチスの手口を見習うべきだ」という趣旨の政治家の発言がありましたけど、ナチスの手口をまねるとおそらく議会が役に立たなくなります。
政治家というのはいろんな階層の人がなるべきと思ってるので、歴史に詳しくない人が政治家になったとしても別にかまわないと個人的には思っています。過去にも土井元委員長が当時の森首相に国会の審議で全権委任法を知ってるかどうか、と尋ねて「知りません」といってたので、ドイツ史はあんまりメジャではないのかもしれません。ドイツ史に興味持ったのは大学生のときで、刑法を勉強したあと気になるところをかじっただけですから(日本の刑法はドイツの刑法に影響を受けてるところがないわけでもない)、私も人のことはいえません。ただ若干ドイツ史を学習した人間からすると今回の件はちょっと…てなところがあります。