吐息

電話をかけたり・かけてきてもらっても、常にずっと会話をしてるわけではなくて、会話が途切れることがあります。おそらく話したいことがあって電話してるのではなく、電話してること自体が安心材料になるのでそんなことになるのかもと踏んでますが、そうすると吐息というか(鼻息というか)、呼吸がケータイ越しに聞こえ耳に印象に残ります。その呼吸が記憶を呼び起こして、抱きしめられて耳に軽く吐息がかかったときのことをふと思い出したことがあります。


「記憶と言うてもな、映る筈もない遠すぎるものを映しもすれば、それを近いもののように見せもすれば、幻の眼鏡のようなものやさかいに」という昔読んだ小説の登場人物の台詞をけっこう強烈に覚えてるのですけど、記憶はたしかに妄想のようなもの、つまり「映るはずのない遠すぎるものを映しもすれば、それが近いもののようにみせ」もして、なんだかそばにいないのにすぐそばにいるような感覚に一瞬、なったり。ただしその間、こころ此処に有らずで「寝ちゃった?」ってひとことでわれに返ったのですが。


記憶や妄想というのは実体はないんだけど、それでも実体には影響あって、しばらく身体が熱を持っていました。記憶とか妄想の力ってのはバカにならないよなあ、と思いつつ、どこか淫乱なだけかもしれないのですけども。