ややこし

私が仕えた上司の中に京都出身の女性がいるのですが、このひとが使ったのが「ややこし」ということばです。「ややこし」という言葉をどういうふうに説明したらいいのか正直なところ答えあぐねるのですが、軽い嘆息とともに「ややこし」というとなんとなくニュアンスが伝わります。たぶん軽くめんどくさいことという意味にも使えますし、すっきりしない・扱いにくいという場面でも使うはずです。この上司には不思議と可愛がられていろいろ教えてもらったのですけど、アルコールなりがはいるとほんと知らない言葉をぽんと出してきます。ただこの上司はこちらが知らない言葉でも訊けば答えてくれる人でした。「ややこし」も訊いた記憶があります。
でもって意思疎通というのは「ややこし」という言葉ひとつとってみても「他人のことば」(京ことば)というのと「自分のことば」(東京のことば)というのをすりあわせをしないと巧くいかないのではないか、ということを思い知らされたわけっす。ただそこまで経験してても「あんたはなにをいいたいんだかわけわかめ」的な文章を書いちまうので、ほんとは思い知ってないのかもしれないのですが。

世の中ややこしくて、ほんとはすりあわせしたほうがいいんだろうけど、つぶやくような短文だとそのすりあわせが困難で、行き違いが多いんではないかなあ、と思うのです。その行き違いができたとき、判らないほうが悪い・判らないほうが教養がない、と考える人が多いのかなあ、などとぼんやり考えちまうのですけど、どうだろ。私の脳内が足らない・ややこしいだけで、世の中それほどめんどくさくないのかもなんすが。