未婚で子供もいない人間にとって「こども手当」って正直あまり興味がないのですが、ここんところずっと新聞でそこそこ報じられてます。で、魚屋の値切り交渉のように所得制限のラインをどこらへんにするかでもめてましたが、ほんとはそんなところより控除が復活しないところにけっこう問題があるんじゃないかと思ってます。というのは「こども手当」の財源を手当てするために前は年少者のいる家庭向けにあった年少扶養控除を無くしました。ざっくりいうと年少者がいる場合は年少者がいることを考慮して所得税で38万と住民税で33万円控除して税金をかけてたのにそれをやめて(つまり増税して吸い上げてそのぶんを児童手当にプラスして)給付へ変えたのですが、その給付を制限するならばスジとしては年少扶養控除を復活すべきもののはずです。というのは子育てをしてる世帯に給付する・しないの差をつける意味が本来はどこにもないからです。
税のあり方の三大原則に公平・中立・簡素ってのがあるのですが、ある一定の所得があったら子育てに関して公平さは考慮しなくていい、というのは妥当かというと疑問符が付きます。控除時代は等しく誰もが子育てのために公平に控除を受けることができたのに給付においてなぜ子育てに関して所得で差をつけるのかという理由をここでしっかりつきつめてとめておいたほうがいいはずなんすが。
いままでは控除という形で処分可能な資金を手もとに残すという年少者のいる家庭には等しく公平に一定の考慮がなされてきましたが、控除から給付になった途端にお金を吸い上げておいて、給付されるべきものを「ない袖は振れねーよ」とばかりに公平さが担保されず考慮されなくなるのですから、やはりこの国は格差社会に突き進んでるのかもしれません。給付をやめる対象が金持ちだからちょっとくらいいいじゃんよー、というのは簡単なんすけど、ほんとはけじめをつけなきゃいけない問題だと思ってるんすけども。
で、あんまり政治のことは書きたくないけど、児童手当にするか子ども手当にするかとかの名称や所得制限の数値の議論になってるそこらへんがいまの政治の底の浅さのような気がしています。
もっとも政治の底が深かった時代なんて、知らないんすけども。