北海道での、余談なんすけど。


明治時代に滋賀県大津市で来日中のロシア皇太子を津田三蔵という巡査が切りつけるという大津事件ってのがありました。動機はロシアの皇太子が日本侵略の下見に来たんじゃないか、ってことを疑ってたからです(諸説あるんすけど、この巡査は西南の役に政府側で参加してるのですが鹿児島・城山で死んだはずの西郷隆盛はロシアに生きてて、ニコライ二世と西郷隆盛が一緒に攻めてくるんじゃないか、って本気で信じてたらしい)。その巡査の裁判に際し、ときの政府はロシアへの体面から法律の解釈では無茶があるのにもかかわらず裁判所に対して死刑に処するように求めました。それに対し児島惟謙という宇和島出身の大審院長は政府の圧力に屈せず、司法権の独立を守ります。法学をかじった人間ならちょっとは知ってるはずの事件です。
で、法学的な評価は覚えても実際の歴史ってのをさして深くは知らずに居て、津田巡査について死刑にならなかったということ以上のことを深くは知らなかったのですが、釧路の刑務所に収監され、釧路で死んでいたことをこの前の旅行で知りました。釧路でとまっていた宿のそばに網走に監獄が移る前の監獄があって、その刑務所の資料を調べていた標茶町役場の人が調査結果の小冊子を作ってて(こちらの氏素性をどう思ったのかわからぬもののこういうものがあるんだけど目を通すかい?とそれを渡され)偶然それを読ませてもらってたら出てきたのです。
自分の中で、偶然、パズルのピースがひとつ、埋まりました。
誰かの仕事を評価できるほど偉くはありませんし歴史研究家でもないっすけど誰かの「いい仕事」を垣間見させてもらえたのがありがたかったです。そして自分の知らない歴史ってのは実はいろんなところに転がってるってことを思い知らされたんすけど。


旅行って、ほんと何に出会うかわからないっす。