服を脱ぐっていうことはけっこう勇気のいることです。脱いだら普通、逃げることができません。ラブホテルでも相手の部屋でも服に手をかける瞬間、もしくは服に手をかけられる瞬間ってのは空気がなんとなく違います。自分から脱ぐのは自ら退路を閉ざすことで相手に任せるのは何かを相手に預けるのと同じかもしれません。そもそも抱かれること自体が「己の存在の大きな部分を誰かに預けてしまうこと」かも。だからか興奮しながらも恐怖はいつもすこしあります。もっとも抱くほうとて「己の全存在の大きな部分を誰かに預けてしまうこと」にかわりはないわけで緊張することは多いですが。
真っ暗な部屋でも明るい部屋でも目を閉じていてもそういうときにキスをして唇に何か触れると興奮はともかくとして緊張や恐怖がやわらぐことがけっこうあります。ほんと謎なんですけど、なんでやわらぐかは他人の体温を感じるからか。


人肌恋しい、っていう言葉もありますが体温ってのは妙に安心するところがある気がするのです。たぶん二次元方向にのめりこまず張り型とか大人のおもちゃを買わないのはそれに人肌のあたたかさが感じられないからだと思う。
人じゃないですが、犬を抱きしめたいっていう衝動を感じるのは犬の体温に触れて安心したいからじゃないかと、生協の店先にいた犬を触ってて、漠然とそんなことを考えてました。