言葉のこと

「たっすいがは、いかん!」
というキリンのポスタが高知へ行くと貼ってあって、見たとき意味が判りませんでした。判りませんでした、ではつまらないので安芸というところで訊いたら「頼りないのはあかん」という意味らしい。でもさらにクエスチョンマークが飛びました。えっと、なんでビールで「頼りないのは、だめ」というコピーなのか?なんすよ。
で、もうちょっと深く訊くと、苦味がいくらか強めのキリンラガーが高知では強かったらしく、キリンは名指しをしなかったものの苦味が少ないアサヒのスーパードライを「たっすい」ビールと揶揄し、頼りないビールよりはキリンを愛飲してね!っていう意味で「たっすいがは、いかん!」という(他社を攻撃するちょっと上品ではない)ポスタを作った、と。そこまで説明してもらってやっと判りました。


ラガーと比較してのドライに対しての「たっすい」っていう言葉は(意味さえ知っちまえば)そうだろうなーと思うし、個人的には腑に落ちました(アルコールゆえに五臓六腑に染み渡るってわけじゃないっすけど)。トリビアの泉の「へぇボタン」というかためしてガッテンの「ガッテンボタン」のような、そのとおりボタンがあったら連打したくなったものの、でもこれはビールを呑んだことしかない人にしか判らないよな、なんて思いました。ビールを呑まない人にはちんぷんかんぷんかもしれませんが。
視覚や身体で感じたことを言葉で理解するのもしてもらうのも、けっこう難しいな、と思うことがあります。ひょっとしたら体感しなきゃ判らないこともあるとおもいます。私は「てんぱる」の意味をリアルでもネットでも解説してもらったのですがいまいち理解できてないです。頭が悪いせいか、たぶんマージャンを本格的にやらないと判らないかもしれません。
それと書いてて思うのですが身体の感覚って難しいな、と思わされることが多いっす。身体の相性なんて言葉もありますけどほんと「身体の相性」って云う言葉でしか表現できないし、背中の溝を舐められたときの快感って他人に説明しにくいし、どこが良いの?ってベッドで訊かれても巧く答えられたためしってほとんどないっす。私は言葉をほんと知りません。


難しいよなーと思いつつも、たまに自分が体験したことやそれ以外のことで、和歌とか小説のなかや誰かと会話してるときに腑に落ちる言葉があることがあって、なんでだろうと考えたことがあるんすけど、そこで使われている言葉に書き手の身体がいっしょにあると感じるときなんすよね。それらの言葉に妙に説得力があること思うことがある。どうやったらそんなふうに言葉が使えるようになるんだろう、っていつも思うのですが、やはりいろんな人の書いたものや会話でもってエッセンスを習得してくしかないのかな、と思ったり。