選択肢としての日本酒

開高健という作家はいまのサントリーで広告のキャッチコピーを書くのが本職でした。で、幾つもの秀逸なコピーを世にだしたのですけど、そういったコピーのほかにどうやったらウイスキーやワインを世の中に普及させるかってことを考えてた人でもあります。広告会社の講演での発言が残ってて、そのなかで(開高さん自身が発案したかどうかは書いてないものの)価格帯で競合する日本酒を叩くためにサントリー社内で考えた殺し文句があって、それが「キスしてもにおいませんから」というやつです。それを知ったころはそんなものかな?なんて思ったのですが、しばらくしてから酔いつぶれた女性を介抱したとき、納得した記憶があります。ほんとに相手が好きならキスしようとしてくる相手のにおいなんて乗り越えられるのですが。

そういう経験があったので酒の選択肢はいろんな意味で物理的に接近したい相手だと、ある程度親しくならないと日本酒って避けるようになっちまったのですが。