七夕

明日は七夕です。
七夕ってのは日本古来のものだと思ってたのですが、そうじゃない、って知ったのは高校生の頃です。もとは中国の話で、織姫は機織の巧みな働き者の娘だったし牛追いの彦星も働き者であったのだけど、一緒にさせたら仲むつまじすぎて織姫も彦星も仕事をしなくなってしまって、それじゃまずいので2人を天の川を隔てて引き離したものの、あんまりの仕打ちだからって、年に一回だけ逢瀬を許したっていう伝説です。七夕伝説の本質は、ほんとは仕事と恋愛は別物なんですよ、ですからけじめつけましょうね、仕事は仕事としてきちんとこなさないとこういうふうになりますよ、って言う教訓の話なのではないかと。なんだか恋愛の話になっちゃってますけど。


で、七夕ってものっそ古い段階で日本に来てて、万葉集にもでてきます。万葉集山上憶良のうたで七夕に関して
「天漢相向き立ちてわが恋し君来ますなり紐解き設けな」
ってやつがあります。天漢とかいて天の川とよみます。で、この歌なにをいってるかっていうと織姫の気持ちを代弁して、
今夜は天の川をこえて恋しいあの人が来ます、そして私は着物の紐を解いて待つ夜です、
ってうたです。このうた、下種な勘ぐりすれば仲睦まじすぎた関係を意識してるんだと思います。大人になってしまった今はなんとなく「紐を解いて待つ」心境ってのは判らんでもないので、そういう心のうちをあからさまにうたうのってほんと情熱的だなあと思うのですが。
ほんとは人を待つ幸福感をうたってるうたかなー、ってのもあるでしょう。上品にまとめると、キスより前の、というより逢瀬の前の、人を思う瞬間がたまらなく幸福感を感じるのはたぶん昔から変わることがない、ってことかなーと。人を思う瞬間すらないいまの自分にはちょっと縁が遠い感覚ですが。