家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる
吉本ばなな『キッチン』2002年新潮文庫より

ということを「キッチン」の中でよしもとばななは主人公に言わせてます。
「誰かと一緒に居た時間」が過ぎ去ってしまえばたまに現実や現実にあった過去が嘘っぽく見えてしまうってことはあるよな、と思うのです。


確かに自分のそばに家族や親しい人が居たことはたしかなんだけど、一緒に居た時間が長かったり、楽しい時間を共有して濃密な体験を一緒に過ごした相手であれば、その嘘っぽい感じがより強くなるんじゃないかとおもう。
その嘘っぽさっていうのが、たぶん孤独の本質じゃないかなー、と考えてるんすけど、どうでしょうか。過去のことなんかは実際嘘じゃなかったし嘘だと思いたくないから家族の形見の品とか付き合ってた相手から貰ったプレゼントなんかをこっそり空けてたまに眺めたりするんすけども。


けど時間は巻き戻せないし、前に進むしかないんすよ。
しかし、たまに、後ろを振り返りたくなすんすよね。女々しいな、とは百も承知っすけど。