ドン・ファン

晦日にやっていたベルリンフィルのジルベスターコンサートの録画を見ました。
で、最初がリヒャルト・シュトラウスドン・ファンです。それと内田光子さんとのモーツァルトのピアノ協奏曲20番。これがまたなんか迫力がありましたです。ラトルという指揮者を個人的に好きになれないのですが、やはりなんかこのコンサートを見てすげー、とはおもいましたです。


R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき、ドン・ファン&ティル

R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき、ドン・ファン&ティル



ドン・ファンですが。
いきなり音響の洪水で始まります。で、そのあと、弦やホルンでドン・ファンのテーマが流れまして、1人目の女性がバイオリンで現れます。猛烈にアタックするんですが不協和音が来て破局に至るのがわかります。で、ついでまた弦楽器で求愛して2人目の女性がきてまたアタックするんですが、ホルンがそのうち威圧的な旋律を奏ではじめるのです(恋人に対する不満を示すらしい)。で、うまくいかずにまた女性を求めてさまようんですが、そのうち今まで出てきたメロディなんかが出てきてうまくいかないことを暗示して突然失速して暗く寂しい雰囲気となり、曲は終ります。詳しくはCDを聴いてください。飽きない曲だと思いますし、この曲で居眠りする人はいないとおもいます。だいたい17分弱の曲です。

理想の恋人を探してさまようっていう主題は、ふつう多少は誰でも興味があるか、もしくは切実なところがあるかもしれません。けどこの曲を聴くとそれは実はあまり恋愛で理想を追求することは意味が無いことなのだよ、と囁いてるのかもしれませんです。もしくは恋に生きる人間ってどうしようもない生き物だよってことを知らしめたかったのかもしれません。


盛り上げるだけ盛り上げときながら最後は独り言のようなピチカートで終わるこの曲を、ちゃんと感傷的なところは感傷的でしたし、ラトルはうまくまとめてたとおもいます。
CDのほうは、あまりメジャなオケではありませんが実に爽快な演奏です。