「小さなご褒美で目をそらす作戦」について

極めて個人的なことを書きます。

私は「めんどくさい」と思うと途端にやる気を失うことがあります。そうなると「靴屋小人さんが寝ている間にやっておいてくれないだろうか」などと考えるようになります。しかし「靴屋小人さんが寝ている間にめんどくさいことをやってくれる」ということは残念ながら(…残念ながら?)異世界へ転生しない限りまずありません。そもそも「靴屋小人さんが」などと考えている時点ではっきりいって時間の無駄で、めんどくさいことにとりかかったほうがまずは合理的です。なので「めんどくせえなあ…」といいながら取り掛かることが多いです。今週のお題「やる気が出ないときの◯◯」を引っ張ると、めんどくさいことを手がけはじめたら必ずおのれへの小さなご褒美を与えます。それは黒ラベルであったり、しば漬けであったり、明太子であったりします。おのれへのご褒美を与えないほうが安くはつきます。が、「なんでおれこんなめんどくさいことやってるんだろう」となったとき「とりあえずこの作業を終えて帰宅したら明太子を食べる」と思考を変換すれば先へ進めます。注意しなければならないのはご褒美はおのれにとって魅力的なものである必要があることです。いくらか主語を大きくすると、魅力的なご褒美があれば人間多少のめんどくささややる気の無さはなんとかなるのではないかな、と(異論は認める)。

くだらないことを書くとこの小さなご褒美で目を逸らす作戦は応用が利きます。眼科の手術を先週うけていたのですが、術後に彼氏に海鮮丼を差し入れてもらう約束をしていました。手術室に入る前の準備の時間、手術部位が手術部位ゆえに事前の丁寧な説明があっても若干の怖さが無かったわけではないのですが、そのたびに海鮮丼を想起して「どんな海鮮丼なのだろうか」とかいままで食べた海鮮丼について想起したりついでに「そういや藤沢のシラス丼美味かったよな」とか思考が飛び、雑念を払拭しています。もっとも術後は眼帯をしていてメガネをかけられず、裸眼ではわさびの見分けがつかなかったのでそのまま口にしてしまい、きわめて小さいけど悲劇がおきています。眼科の術後に海鮮丼は避けたほうが良いです…って、そんな話はどうでもよくて。

最後に些細なことを。はてなハイクというSNSが以前ありました。いろんな人が居たのですが、チームワークが苦手となぜか書く人が居たり昼間に視たものについて感想をのべる人が居ました。それはそれでどってことないことかもしれないのですが、それらを帰宅してみてしまったある夜、根回しをしたり昼間働いてるこちらがみじめに思えてきたことがあって、SNSは他人の動きが可視化されますがその可視化はおのれに悪影響を与えかねないと考え、それ以降は余裕のないときはSNS的なものからなるべく離れるようになっています。ここらへんのこと、人によって解が違うかもしれませんが。

なんかこう、小さなご褒美をぶら下げて処理するというのはこどもっぽいかもしれません。匿名を奇貨として恥かきついでに書くと来月、続けて追っている青ブタの新刊が出ます。11月もいくらかめんどくさいことをしなければならない日が続くのですが「今月切り抜ければ新刊が待っている!」とその新刊もおのれへのご褒美扱いにして切り抜ける所存です。

『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』4話5話を視聴して(もしくは喜劇に見える悲劇について)

『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』4話5話を視聴しました。はてなにはアニメに詳しい人が沢山いて、それほど詳しくないのがいちいちここで書くことにどれだけの意味があるのかわかりませんが、やはり書かず放置するのがなんだかもったいない気がするので書きます。

幾ばくかのネタバレをお許しください。水泳部の先輩の桜井先輩とつきまとう後輩である宇崎ちゃんの仲がちっとも先に進まない状況に業を煮やした周囲が、条件付きイケメンである桜井先輩を狙う異性が居ることを宇崎ちゃんに告げ宇崎ちゃんを焚きつけるのが4話で(その結果どうなったかは是非原作等をお読みいただいたいのですが)、(なぜそうなったかは是非原作等をお読みいただいたいのですが)宇崎ちゃんのお父さんである藤生さんに宇崎ちゃんが異性の先輩(=桜井先輩)と仲が良いことがバレてしまうのが5話です。

5話では結果的に宇崎家で家族会議が開かれることになります。藤生さんに訊かれた宇崎ちゃんは、桜井先輩がどんな性格でなぜ桜井先輩につきまとってるかや、夜なかなか寝かせないほどに(ゲームをして)遊んでることや料理が苦手な桜井先輩の部屋でメシを作ったりしてることを含めてすべてを白状します。しかし付き合ってるという意識が宇崎ちゃんも桜井先輩にも無いのでどこまでも清いお付き合いで、そのためか「なにをやってるのだ」という反応です。藤生さんに至っては当初は査問調であったものの最後には「娘に手を出さないなんて」と嘆きだします。傍観者であるこちらはそれらは喜劇そのものなのですが、でも宇崎ちゃんからすれば桜井先輩のためにやってきたことが否定されてるわけですから喜劇ではなく悲劇です。人付き合いに正解なんてひとつもないはずなのに「こうあるべきである」という明示のない正解っぽい共通認識が置かれそれに反するものが否定されてる状況で、フィクションにのせてありますがその至極当たり前に取れがちな空気が「ちょっと怖いな」と思っちまいました。

でもって誰一人味方が居なかった家族会議を打ち切ったあとの宇崎ちゃんが怒ってる描写なのが、つまり周囲に安易に妥協せずにいる描写なのがせめてもの救いで個人的には良かったです。『宇崎ちゃんは遊びたい』は宇崎ちゃんに付きまとわれる桜井先輩の受難の話だとずっと思っていたのですが、家族より重いものが出来たという宇崎ちゃんの変化の物語にもなったわけで。

さて、4話では桜井先輩と宇崎ちゃんの共通の先輩である亜細さんが異性である桜井先輩を性的な目で眺めていたことがいくらかコミカルに触れられています。コミカルではあるものの、女性が男性を性的な視線で眺めることは不思議ではなく、そのことに触れてる点でちょっと唸らされています。性的な目線って別に一方通行ではないわけで。

最後にほんとにくだらないことを。

宇崎ちゃんのお父さんの藤生さんは関西出身でなまりを隠しません。宇崎家では末っ子以外すべて標準語なのですが、お前たちには関西人のソウルが刻まれてるといって

関西電気保安協会

の文字を子供たちに音読させようとします。社会人になって最初に大阪に放り込まれたせいか私も素直に読めず、節をつけて読んでしまっています。普通に読めないことがなぜ関西人のソウルが刻まれてることに直結するのか理屈が不明ですが、説得力とは別のところで妙に腑に落ちてしまっています。そんなふうに物語を説得力とは別のところで腑に落ちる程度の読解力しかなく、たいした感想も書けそうにないので、このへんで。

5万円

術前に説明書きを受け取っててそれの受け売りなのですが白内障というのは眼内の水晶体が濁り、手術ではそれを人工のレンズに交換することになります。たとえばその人工のレンズを手許に焦点を合わせたレンズにすれれば術後は本を読むときなどにメガネが不要です。

術後眼帯を外した直後に裸眼でも診察室に掛かってるカレンダーの文字がけっこうしっかり見えたのが新鮮で、診察室を出たあとも会計待ちの間に無駄に左目を瞑って右目だけでどれくらいみえるか探っていました。傍から見ると変な患者であったはずです。ちなみに費用は5万しなかったのですが、裸眼でもある程度クリアな視界を手に入れたせいか「5万でも安いかな」と思っていました。

そのときは。

昨日術後1週間後の診察があって、視力が一か月くらいすると安定するのでそのときにメガネをコンタクトを作る予定であることをドクターから改めて云われると「5万円でも安いかな」感が消え、「そっかまだかかるんだよな、だったらちょっと節約しなくちゃな」とか「いまあるフレーム使えば安くつくかな」などと意識が切り替わっていました。

昨晩いちおうの心配をしてくれてる彼氏に金銭面を省いて報告すると「がん保険かけてるっていってたよな」という話になり念のため給付があるか調べたらどうか?と問われ、がんを目的に入ったおのれの保険証券を眺めてるとがんでない日帰り手術でも5万の給付がでることが判明し、手続きを開始してます。がん以外にもちょっと広めにカバーしているアヒルの保険を選んだ若き日のおのれに感謝なのですが、5万円給付がわかると現金なもので「さてどんなメガネにしようかな」などと若干気が大きくなっていました。まだ振り込まれたわけでもないしコロナの影響で相当時間がかかるらしいので、とらぬ狸の皮算用なのですが。

お金に左右されるのはカッコ悪いのですけどここ数日、5万という数字に若干気持ちが振り回されています。

禁洗髪について

白内障手術のことを懲りなくもうちょっとだけ引っ張ります。

術前に説明書きを渡されていて頭では理解してはいたものの、実際に直面して困惑したものが複数かあります。そのうちの筆頭はドクタの許可がでるまでの間の(おそらく細菌感染予防のための)自己洗髪禁止です。もちろん手術当日の朝に洗髪して手術は受けてます。でもって術前の「1週間くらい髪の毛を洗わなくてもへーきへーき、なんとなかるのでは?」なんて目論見はもろくも崩れ、美容室などでやるような「仰向けの洗髪なら術後翌日から良い」という説明書きを頼りにいつも髪についてお世話になってるところに術後3日目に電話をかけて泣きついて、(手術したほうにカーゼを掛けて余計なものがかからないように工夫したうえで)仰向けの洗髪をしてもらっています。洗髪した直後のさっぱりした感覚は眼帯が取れたときの診察室に掛かってたカレンダーの鮮明な文字とともにしっかり記憶に残ると思います。万一禁洗髪の法律ができたら武装して革命軍に加わることを辞さない程度に、禁洗髪はかなりキツかったです。人はたぶん洗髪ナシでは生きていけないはずです(異論は認める)。

洗髪以外にも運動はしばらく禁止ですが散歩は事前の説明書きではなぜかOKで、そこらへんの理屈が判るようでわからないのですが、ダンベルを持って歩かなければダイジョウブじゃね?と解釈して今日は近くの公園を歩いていました。

さて、くだらないことを。

赤茄子の実が成っていて、どうみてもトマト感が拭えないのですけど、しかし鳥がついばんだ様子もないので皮は硬いはず。もちろん食べることは出来ない旨の告知もありました。できないことの告知があるので過去に失敗した人の存在を想像しちまっています。でも食べたくなるの、わからないでもないかな、と。

点眼薬のミスを防ぐ方法について試行中

先日の白内障手術の時のことをもうちょっとだけ引っ張ります。

院内では生年月日と本名を繰り返し繰り返し解答する必要がありました。たとえば術前の準備室では生年月日と本名を患者本人(=私)に質問しそれに答えたあと看護師さんが改めて暗唱しながら’(おそらく)指示書を確認し、その上で複数回の点眼や点滴経路の開設処置等を行っていました。さらに右眼左眼どちらを手術するかを本人に質問しそのあと(おそらく)指示書を確認し、手術する側の目の横にシールを貼り、シールを張ったまま手術室へ移動しています。手術室でも顔見知りのドクターが生年月日と本名、それにどちらの眼を手術するかを患者本人に質問し、その答えをそこにいたドクターとスタッフが暗唱した上でシールを剝がし手術がはじまっています。「人は間違うかもしれない」という前提の上でないとそこまでの対策は考えつかないのではないかと思えるほどに対策を重ねていて、(実際に手術室で唸ったわけではありませんが)唸らされています。

話はいつものように横に素っ飛ぶのですが。

手術したほうの目には一日4回の点眼薬が2種、一日2回の点眼薬が1種でています。順番は問わず5分の間隔を開ける必要があって、これをしばらく続けなければならないのですが、シロウトながらも抜いたらとんでもないことになるかもしれないと考え、ちゃんと点眼しています。根はズボラですが恐怖はズボラを矯正するのではないかと思われます…ってそんな話をしたいわけではなくて。

院内での体験が印象深かったこともあって声に出せばミスは減るかもと考え、点眼せねばならない点眼薬をあらかじめすべて出して右側に置いておき、5分後に鳴るようタイマーをかけ、薬品名を読み上げたあとに点眼しすぐには右に戻さす左側に置く、という作業をいまのところしています。それで同じ点眼薬を連続して点眼するミスは防げてるのですが、もうちょっとスマートにやりたいと思いつつ、他にちょっと思いつかなかったり。

安静時に視聴したもの「ヨーロッパの高速鉄道」

白内障の手術後、数日安静を言い渡されています。特に眼球に衝撃を与えるのもNGで、ギッターと呼ばれるゴーグル状の保護メガネを装着してて、寝るときもそれです。メガネを装着して寝るというのがはじめてだったのですがすんなり眠れています。それほど繊細ではなくて残念ながら(…残念ながら?)あんがい図太いのかもしれません。

安静にしてろと云われて休みをとったものの、絶対安静ではありません。目と下半身がどのように関係するのか正直わかっていないのですが「下半身が力むことをしないように」と云われててその言葉で力仕事や重いものを持つのがNGなのだな、と理解しています。なので洗濯ものは力まないのでやったものの、朝九時にはやることがなくなってNHKBSの欧州の高速鉄道の番組(「ヨーロッパの高速鉄道」2001年制作)を視聴しだし、興味深かったので途中からメモをとりだしていました。力んでこそいないものの安静が必要な人間のふるまいとして妥当か?といわれるとぐうの音も出ません…って前置きはともかく。

高速鉄道の場合、いちばん良いのは直線ですっ飛ばすことです。ところが投資額や地形の都合でそうはいかない場合があります。たとえばカーブでどうやって速度を落とさずに切り抜けるかという問題が出てくるのですが、北イタリアから山岳地帯を経てスイス方面へ向かうチザルビーノの場合車体を強制傾斜させ切り抜ける工夫を、ストックホルムから一部在来線を経由してコペンハーゲンに向かうX2000の場合は車体と台車との間をゴム部品をかませて柔軟性を持たせて切り抜ける工夫を、それぞれしていて、番組内ではそれぞれの台車等や沿線風景を映しながらその特徴を解説していて、唸らされています。高速鉄道ですから起終点の風景や速度だけ扱っても良いのですがそれをせず、なぜそれが可能になったのかや地域事情を踏まえて最適な技術を開発してることを丁寧に示してるのが観ていて好感持てました。

当然フランスのTGVにも番組内で触れています。台車や動力伝達の構造が複雑になりメンテナンスに難があるのは承知の上で車両を製作していることに触れ、代わりに路線はカーブやコストのかかるトンネルを極力排除したほかある程度の上り勾配を許容し速度が落ち、逆に下り坂では加速する前提の設計であることに触れながら、沿線の丘陵地帯の勾配区間を走行するTGVの映像も添えていました。

2時間近く20年前の映像を視聴していたのですが、飽きずにいて、そして古びた印象がまったくありませんでした。その地域がどんな状況で、その状況下で開発された技術の紹介に多くを割いて、それがいまも基本的なところでは変っていないからだと思われます。残念ながら2022年現在X2000は運行を停止してしまっていますが、チルビザーノの車体傾斜のシステムは今でもカーブ区間でスピードを出す技術として生きていますし、TGVも健在です。それどころかKTXを筆頭に兄弟も増えています。

わかりやすい最高速度を競う番組にせず、その地域に最適な技術をもった高速鉄道についてのドキュメントにしたからこそ古びなかったともいえるかもしれません。なんだろ、良質な番組を視た感がありました。いまのNHKには過去に負けぬよう、良い番組を作って欲しかったり。

手術と注射と血圧の関係の個人的メモ

白内障の日帰りの手術を受けてきました。きっかけは小田急線のホームの案内板を眺めていたときで、以前はもっとくっきり見えたはずなのにそうではないことに気が付きもしや老眼になったのでは?と緑内障でお世話になってるドクタに相談したら「白内障が進行してます」といわれ、40代でもなるひとはなりますと断言され、手術をすすめられたので受けてきました。手術そのものはうまくいってます。

手術室の前に準備室のような場所があり術前にそこで寝っ転がりつつおそらく抗菌もしくは消毒を兼ねた点眼を間隔をあけて三回くらい行っています。そのほかに血中の酸素濃度や血圧も随時測っていて、最初は「低めですね」といわれつつ血圧は上が108でした。

そのうち化膿止めの点滴を、ということになりました。それはそれで大事なことなので、まず右腕を差し出したものの、父も母もそうだったのですが血管を見つけにくくその遺伝なのか見つけることが出来ず、次いで以前採血したことのあるあたりを指差しながら左を差しだしました。「ここかな」とおぼしき所を刺したもののやはりちがったらしく抜いて止血しています。そして右でもう一度、ということになって「ここかな」というところを刺したのですが、そこでも空振りでもう一度針を抜き、止血しています。看護師さんが悪いわけではないので(かといって私が悪いわけでもないのだけど)「なんどやってもいいですよ」と宥めたものの、「二度あることは三度ある」という諺が頭をよぎったのか、別の看護師さんに交代となり改めて左で針を刺して点滴の経路?を確保しました。

それから数分して別の血圧を計ったら今度は140を越えるレベルで血圧が上がっています。血圧を測った看護師さんは点滴の経路を探してくれた人とは別で、おそらく注射針を何度か刺されたら血圧は上がると思われるのですが、懸命に経路を探してくれた看護師さんの手前何度も刺されたせいですとは言いにくく「手術はしばらくしてないので」などとテキトーに答えていたら数分後「不安を抑える薬です」というのが出てきました。こうなってくるとそれが陀羅尼助だろうと透沈香だろうと飲むしかありません。その抗不安剤が効いたのか何の不安も無く手術室に行けてます。結果オーライとはいうものの、あの患者はいい歳して手術を前に血圧が上がったと思われてたとしたら、若干のひっかかりがあるのですけれども。

白内障眼内レンズの技術開発に驚かされつつくだらないことを書くと、血管がでにくい患者の点滴経路確保法とか痛くない注射針の開発とかそこらへんのも資金をつぎ込んでくれないだろうか、とか、思っちまったんすが。

しばらく安静にしててくださいといわれたのでこのへんで。